SDGs13 日本の現状から見る気候変動対策の全貌【専門家が解説】

気候変動という言葉を聞いて、「私たち一人ひとりに何ができるの?」と思ったことはありませんか?私自身、環境問題について調べれば調べるほど、その複雑さに圧倒されてしまった経験があります。特に日本では、独自の地理的・社会的背景があり、世界共通の対策をそのまま適用できるわけではありません。

この記事では、SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の観点から、日本の現状と課題を最新データとともに徹底解説します。エネルギー政策から産業分野の取り組みまで、私たちの生活に直結する情報をわかりやすくお届けします。

もくじ

SDGs13とは?日本における気候変動対策の基本

SDGs(持続可能な開発目標)の13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」は、2015年に国連で採択された17の国際目標の一つです。この目標は、気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を講じることを求めています。 (出典:国連広報センター|「持続可能な開発目標(SDGs)」

私が初めてSDGs13について詳しく知ったとき、「なぜ13番目なのだろう?」と疑問に思いました。実は、気候変動は他の多くの環境・社会問題と密接に関連しているからこそ、SDGsの中核的な位置を占めているのです。

日本のSDGs13への取り組み状況

日本政府は2016年に「SDGs実施指針」を策定し、気候変動対策を重点課題の一つとして位置づけています。2021年には「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する目標を掲げました。(出典:環境省|「地球温暖化対策計画」)

しかし、SDGs達成度を評価する国際指標では、日本のSDGs13の達成度は必ずしも高くありません。2023年のSDGsインデックスによると、日本のSDGs13の達成度は「課題が残る」とされています。 (出典:Sustainable Development Report|「SDG Index 2023」

「日本はなぜSDGs13の達成に苦戦しているのか?」この疑問を解き明かすために、まずは現状を数字で見ていきましょう。

データで見るSDGs13 日本の現状

温室効果ガス排出量の推移

日本の温室効果ガス総排出量は、2013年度の14億800万トンをピークに減少傾向にあります。2022年度の排出量は11億3800万トン(速報値)で、2013年度比で19.2%の削減となりました。 (出典:環境省|「2022年度(令和4年度)の温室効果ガス排出量(速報値)」

この数字だけ見ると「順調に減少している」と思えるかもしれませんが、私が専門家に取材したところ、「この減少の一部はコロナ禍による経済活動の停滞や、原発事故後の省エネ意識の高まりによるもの」という指摘もありました。持続的な削減のためには、さらなる構造改革が必要です。

部門別CO2排出量

2022年度のCO2排出量を部門別に見ると。

  • エネルギー転換部門:39.7%
  • 産業部門:25.3%
  • 運輸部門:17.8%
  • 家庭部門:10.2%
  • 業務その他部門:6.5%

(出典:国立環境研究所|「日本の温室効果ガス排出量データ」

私たちが普段生活している中で「家庭からの排出は意外と少ないんだ」と驚きませんか?実は、日本のCO2排出の主な発生源はエネルギー生産と産業活動なのです。これは、気候変動対策には個人の努力だけでなく、社会システム全体の変革が必要であることを示しています。

再生可能エネルギーの導入状況

2022年度の日本の電源構成における再生可能エネルギーの割合は約24.3%で、2013年度の約10.4%から大幅に増加しています。しかし、これはドイツ(約46%)や英国(約43%)と比較するとまだ低い水準です。 (出典:資源エネルギー庁|「日本のエネルギー2023」

私自身、太陽光パネルの導入を検討した際に、初期費用や設置場所の制約に悩んだ経験があります。個人レベルでの再エネ導入にはまだハードルがあるのが現状です。

日本の気候変動対策の課題と今後の展望

エネルギー政策の課題

日本のエネルギー政策における最大の課題は、エネルギー自給率の低さです。2021年度のエネルギー自給率はわずか13.4%で、G7諸国の中で最低レベルです。 (出典:資源エネルギー庁|「日本のエネルギー自給率の推移」

この背景には、地理的条件や資源の少なさだけでなく、福島第一原発事故後の原子力発電の停止に伴う化石燃料依存の増加があります。「安全性」「経済性」「環境性」「エネルギーセキュリティ」の4つのバランスをどう取るかが、SDGs13の達成に向けた大きな課題となっています。

産業分野の対応

日本の産業界は、「カーボンニュートラル行動計画」などを通じて、自主的な温室効果ガス削減に取り組んでいます。特に製造業では、エネルギー効率の向上や生産プロセスの改善により、着実な成果を上げています。 (出典:経済産業省|「カーボンニュートラル行動計画フォローアップ結果」

例えば、鉄鋼業界では高炉から発生するCO2を分離・回収する技術の開発や、水素を活用した製鉄プロセスの実証実験が進められています。自動車業界では、電気自動車や燃料電池車の開発・普及が加速しています。

しかし、中小企業ではコスト面や技術面の制約から、脱炭素化の取り組みが遅れている現状もあります。「大企業と中小企業の間の格差」は、今後解決すべき重要な課題の一つです。

地方自治体の取り組み

気候変動対策において、地方自治体の役割が注目されています。2023年現在、全国の673自治体(43都道府県、630市区町村)が「ゼロカーボンシティ」を表明し、地域特性を活かした気候変動対策を進めています。 (出典:環境省|「ゼロカーボンシティ実表明自治体」

例えば、長野県は2050年までに県内のCO2排出量実質ゼロを目指す「気候非常事態宣言」を全国に先駆けて発表し、太陽光発電の導入支援や森林資源を活用した地域循環型社会の構築に取り組んでいます。

このような地方発の取り組みは、「地域の実情に合った対策」として効果的であり、全国に広がることが期待されています。

個人レベルでできるSDGs13への貢献

気候変動対策は、政府や企業の取り組みだけでなく、私たち一人ひとりの行動も重要です。ここでは、日々の生活の中でできるSDGs13への貢献方法をご紹介します。

エコな消費行動

私自身、数年前からプラスチック製品の使用を減らす努力をしていますが、最初は「本当にこれで変わるのかな?」と思ったことがあります。しかし、環境に配慮した商品を選ぶ消費者が増えることで、企業の製品開発や事業方針にも変化が生まれます。

  • 環境負荷の少ない製品を選ぶ
  • マイバッグ・マイボトルの使用
  • 食品ロスの削減
  • フードマイレージを意識した地産地消

住まいのエコ化

住まいのエコ化は、CO2削減だけでなく、光熱費の削減にもつながります。私の友人は、窓の断熱リフォームを行ったところ、冬の暖房費が約20%削減されたと喜んでいました。

  • 住宅の断熱性向上
  • LED照明への切り替え
  • 高効率な家電製品の利用
  • 節水・節電の実践

移動手段の見直し

移動手段の選択も、CO2排出量に大きく影響します。コロナ禍でテレワークが普及し、通勤による環境負荷が軽減された面もありました。

  • 公共交通機関の利用
  • 自転車・徒歩での移動
  • カーシェアリングの活用
  • エコドライブの実践

日本の気候変動対策における成功事例

日本には、気候変動対策で成功を収めている事例もあります。これらの事例から学ぶことで、SDGs13の達成に向けたヒントが得られるでしょう。

企業の取り組み事例

リコーグループは、2050年までにバリューチェーン全体のGHG(温室効果ガス)排出ゼロを目指す「環境目標」を設定し、再生可能エネルギーの導入や資源循環型のビジネスモデル構築に取り組んでいます。2030年までに使用電力の50%を再生可能エネルギーに切り替える計画も進行中です。 (出典:リコーグループ|「環境目標」

積水ハウスは、新築戸建住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率を90%以上に高め、住宅分野における脱炭素化を牽引しています。 (出典:積水ハウス|「サステナビリティレポート2023」

これらの企業に共通するのは、「環境対応を単なるコストではなく、新たな事業機会と捉えている」点です。気候変動対策と経済成長の両立は、決して夢物語ではないのです。

地域の成功事例

鹿児島県薩摩川内市は、地熱や太陽光などの地域資源を活用した「再生可能エネルギーのまちづくり」を推進し、エネルギーの地産地消と雇用創出の両立に成功しています。 (出典:薩摩川内市|「次世代エネルギービジョン」

長野県飯田市では、市民出資による太陽光発電事業「おひさま進歩エネルギー」が地域経済の活性化に貢献しています。 (出典:飯田市|「再生可能エネルギー政策」

これらの事例は、「地域特性を活かした取り組み」の重要性を示しています。全国一律の対策ではなく、各地域の強みを生かした対策が効果的なのです。

国際比較から見る日本の立ち位置

日本の気候変動対策を客観的に評価するため、国際比較の視点も重要です。

排出量削減目標の比較

主要国の2030年温室効果ガス削減目標(基準年比)は

  • 日本:46%削減(2013年比)
  • EU:55%削減(1990年比)
  • 米国:50-52%削減(2005年比)
  • 英国:68%削減(1990年比)

(出典:環境省|「各国の気候変動対策」

一見すると日本の目標は低く見えますが、基準年が異なるため単純比較はできません。日本の目標を1990年比に換算すると約42%削減となり、国際的にも野心的な水準と言えます。

しかし、「目標設定」と「実際の達成」は別問題です。日本の課題は、目標達成に向けた具体的な道筋とそれを支える政策の一貫性にあります。

再生可能エネルギー導入の国際比較

再生可能エネルギーの電源構成比率(2022年)

  • ドイツ:約46%
  • 英国:約43%
  • スペイン:約47%
  • 日本:約24.3%

(出典:IEA|「Renewable Energy Market Update 2023」

日本は地理的条件や土地制約から、再エネ導入にハードルがあることは確かです。しかし、近年は洋上風力発電の可能性が注目されるなど、新たな展開も見られます。

「日本の自然条件を活かした再エネミックス」を模索する時期に来ているのではないでしょうか。

今後10年で日本が取り組むべき気候変動対策

2030年は、SDGsの目標年であり、パリ協定の中間目標年でもあります。この重要な節目に向けて、日本が取り組むべき課題を考えてみましょう。

エネルギー転換の加速

日本のエネルギー転換を加速するためには、以下の取り組みが重要です。

  • 再生可能エネルギーの主力電源化
  • 蓄電池技術の開発・普及
  • 電力系統の強化・スマート化
  • 水素社会の実現に向けた基盤整備

特に注目したいのは水素エネルギーです。日本は世界に先駆けて「水素基本戦略」を策定し、水素社会の実現に向けた取り組みを進めています。福島県では世界最大級の水素製造施設が稼働するなど、具体的なプロジェクトも動き始めています。 (出典:経済産業省|「水素基本戦略」

産業構造の転換

日本の産業界は、気候変動対策を成長の機会と捉え、以下のような取り組みを進めることが重要です。

  • 脱炭素技術のイノベーション促進
  • サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行
  • サプライチェーン全体での排出削減
  • 環境配慮型の新産業育成

私が最近取材した企業では、「脱炭素は単なるコストではなく、新たな顧客価値を生み出すチャンス」と捉え、積極的に環境技術の開発に投資していました。この姿勢が日本企業全体に広がることが期待されます。

社会システムの変革

気候変動対策を進めるためには、社会システム全体の変革も必要です。

  • カーボンプライシング(炭素税・排出量取引)の導入
  • 脱炭素型の都市・地域づくり
  • 気候変動教育の充実
  • 気候変動適応策の強化

私が特に重要だと感じるのは教育です。小学校から大学まで一貫した環境教育を行うことで、次世代の「気候変動リテラシー」を高めることができるでしょう。

SDGs13と日本の未来:我々に求められる行動とは

SDGs13の達成に向けて、私たち一人ひとりにできることは何でしょうか。

個人の意識と行動の変革

気候変動対策の第一歩は、私たち自身の意識と行動の変革です。「自分一人の行動は小さいかもしれないが、みんなで行動すれば大きな変化を生み出せる」という意識を持つことが重要です。

私自身、数年前から「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」を意識した生活を心がけていますが、最初は面倒に感じることもありました。しかし、続けるうちに習慣化し、今では自然と環境に配慮した選択ができるようになりました。

協働の重要性

気候変動対策は、個人、企業、自治体、政府など、あらゆるステークホルダーの協働が不可欠です。「自分ごと」として捉え、それぞれの立場でできることに取り組むことが重要です。

例えば、地域の環境活動に参加したり、職場での環境改善提案をしたりすることで、個人の取り組みを社会全体の動きにつなげることができます。

次世代への責任

私たちの今の選択と行動は、未来の世代の生活環境を左右します。「持続可能な社会」をつくるという責任を自覚し、行動することが求められています。

子どもたちと自然体験をしたり、環境問題について話し合ったりする中で、次世代の環境意識を育むこともできるでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q1: SDGs13の「気候変動に具体的な対策を」とは具体的に何を意味していますか?

A1: SDGs13は、気候変動とその影響に対処するための緊急対策を求めています。具体的には、気候関連災害や自然災害に対する強靭性と適応能力の強化、気候変動対策を政策や戦略、計画に組み込むこと、気候変動に関する教育や啓発の改善、先進国による途上国への資金支援などが含まれます。 (出典:国連開発計画(UNDP)|「SDGs目標13」

Q2: 日本のSDGs13の現状は他の先進国と比べてどうですか?

A2: 日本は温室効果ガスの排出削減目標として2030年までに2013年度比46%削減を掲げていますが、再生可能エネルギーの導入率はドイツや英国などと比べるとまだ低い状況です。一方、エネルギー効率の改善や省エネ技術では世界トップレベルの実績があります。総合的に見ると、日本はSDGs13の達成に向けて前進しているものの、さらなる取り組みの加速が求められています。 (出典:持続可能な開発ソリューションネットワーク|「2023年SDGsレポート」

Q3: 一般市民として気候変動対策に貢献するには何ができますか?

A3: 日常生活では、省エネの実践(節電・節水)、環境に配慮した商品の選択、食品ロスの削減、プラスチック使用の削減、公共交通機関の利用などができます。また、地域の環境活動への参加や、環境問題に取り組む政治家や企業を支持することも重要です。一人ひとりの小さな行動が集まって大きな変化につながります。 (出典:環境省|「COOL CHOICE」

Q4: 日本が気候変動対策で直面している最大の課題は何ですか?

A4: 日本の最大の課題は、エネルギー自給率の低さと化石燃料への依存度の高さです。島国であること、資源が乏しいこと、そして福島第一原発事故後の原子力発電の停止に伴い、エネルギー政策の転換が難しい状況にあります。また、既存のインフラや産業構造を脱炭素型に移行させるための経済的・社会的コストも課題となっています。 (出典:エネルギー白書2023|「日本のエネルギーをめぐる課題」

Q5: 2050年カーボンニュートラルは本当に達成可能なのでしょうか?

A5: 2050年カーボンニュートラルの達成は技術的には可能ですが、大きな社会変革が必要です。再生可能エネルギーの大幅な拡大、エネルギー効率の向上、脱炭素技術の開発・普及、経済・社会システムの変革など、多方面からの取り組みが不可欠です。政府、企業、市民の協働と、長期的かつ一貫した政策の実施が成功の鍵となります。 (出典:国立環境研究所|「脱炭素社会に向けたシナリオ分析」

まとめ:SDGs13 日本の現状と未来への展望

本記事では、SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の観点から日本の現状と課題を分析してきました。

日本は2050年カーボンニュートラルという野心的な目標を掲げ、様々な取り組みを進めていますが、エネルギー自給率の低さや産業構造の転換など、乗り越えるべき課題も少なくありません。

一方で、省エネ技術や水素技術など、日本が世界をリードできる分野もあります。気候変動対策を「制約」ではなく「成長の機会」と捉え、技術革新と社会変革を両輪で進めることが重要です。

SDGs13の達成は、政府や企業だけでなく、私たち一人ひとりの意識と行動にもかかっています。「自分にできること」から始め、持続可能な社会の実現に向けて、共に歩んでいきましょう。

気候変動対策は、将来世代のためだけでなく、私たち自身の生活を守るための取り組みでもあります。SDGs13 日本の現状を正しく理解し、具体的な行動に移すことで、持続可能な未来を切り拓いていけるはずです。

この記事を書いた人

私たちeco living編集部は、脱炭素アドバイザー ベーシックの資格を保有した編集者が、持続可能な暮らしを提案し、環境に配慮したライフスタイルをサポートするために日々記事を発信しています。地球に優しい商品やサービスの紹介から、エコな生活のヒントまで、皆さまのより良い未来作りのお手伝いを目指しています。

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