【わかりやすく解説】SDGs目標6とは?日本と世界の取り組み事例を紹介

SDGs(持続可能な開発目標)目標6は、「すべての人に安全な水とトイレを提供する」ことを目指しています。この目標は、人間の生活基盤となる水と衛生環境を改善することを目的としており、健康、教育、ジェンダー平等、経済成長など他のSDGs目標にも直結しています。以下に、SDGs目標6の具体的なターゲットとその重要性を解説します。


もくじ

SDGs目標6のターゲット一覧と背景

6.1:安全で手ごろな飲料水への普遍的なアクセス

約20億人が安全な飲料水にアクセスできていません(2023年時点)。特にサハラ以南のアフリカでは、遠方の井戸から水を運ぶのに数時間を費やす人々が多く、女性や子どもの負担が深刻です。

6.2:衛生施設の普及と公衆衛生の改善

世界で約36億人が基本的な衛生施設を利用できない状況です。トイレが不足していることで屋外排泄が一般的な地域では、感染症の拡大リスクが高まり、特に女性の安全や教育機会に影響を与えています。

6.3:水質の改善と汚染削減

産業排水や農業廃水による水質汚染が、河川や地下水に深刻な影響を及ぼしています。未処理の排水が水源に流れ込むことで、飲料水の安全性が脅かされる事例が後を絶ちません。

6.4:水資源の効率的な利用と持続可能な管理

水不足は今後さらに深刻化する見込みです。現在、世界人口の40%が水不足の影響を受けており、気候変動が進むことでその割合は増加する可能性があります。

6.5:統合的な水資源管理の促進

国境を越えた河川や湖沼の管理は多国間協力が必要不可欠です。例えば、ナイル川流域では上下流国の間で水利用を巡る紛争が続いており、国際的な調整が求められています。

6.6:水関連の生態系保護

湿地やマングローブは水質を自然に浄化し、洪水を防ぐ役割を担っています。しかし、これらの生態系は開発や汚染により急速に失われています。

日本国内の水と衛生への取り組み

高度経済成長期と上下水道の整備

戦後の日本は、急速な経済成長に伴う都市化に対応するため、上下水道の整備を国家的課題として進めました。その結果、2020年時点での上水道普及率は98%、下水道普及率は約80%に達しています。この整備により、以下のような社会的影響がありました:

  • 水媒介性疾患の激減:特に戦後に多発していた赤痢やコレラなどの伝染病が、上下水道の整備によりほぼ根絶。
  • 生活の質の向上:手洗いやトイレの普及により、家庭での衛生環境が改善されました。

最新インフラ技術の導入

日本の水インフラは、次の段階として効率化と持続可能性を追求しています。

  • 超音波検査:水道管の老朽化による漏水を未然に防ぐため、管内部の超音波検査技術が導入されています。
  • スマートメーター:多くの自治体で、リアルタイムで水使用量を計測できるスマートメーターが普及し、住民の節水意識向上にも寄与しています。

日本では、下水処理水を産業や灌漑用水として再利用する「中水道システム」が都市部で拡大しています。具体例としては:

  • 東京23区:新宿中央公園では下水処理水を用いて植栽の散水や噴水を稼働させており、年間約5,000トンの水資源を節約。
  • 大阪府の取り組み:再生水を工場で冷却水として利用することで、工業用水需要を約15%削減。

災害時の水供給システム

自然災害が頻発する日本では、災害時の水供給体制が整備されています。

  • 緊急井戸ネットワーク:多くの自治体で、災害時に利用可能な地下水井戸が設置されています。これにより、地震や台風で断水が発生しても地域住民に飲料水を提供可能です。
  • 給水タンク車の整備:全国で1,200台以上の給水タンク車が配置されており、迅速な水供給が可能になっています。
  • 災害用簡易浄水器:一部自治体では、河川や池の水を飲料水に変換できる携帯型浄水器を配備し、避難所での水確保を容易にしています。

地方自治体の先進事例

地方自治体ごとに特徴的なプロジェクトが展開されています。

  • 京都市の水道遺産活用:歴史ある水道施設を観光資源として活用し、収益を設備維持に充てる仕組みを構築。
  • 熊本市の地下水保全プロジェクト:地下水を主な水資源とする熊本市では、企業と連携して地下水涵養活動を展開。森林保全活動や雨水の有効活用を推進しています。

発展途上国での支援活動

井戸掘削と給水インフラ整備

多くの発展途上国では、住民が遠距離を歩いて水を確保する生活を送っています。日本のNGOや企業は、以下のような井戸掘削や給水インフラ整備を支援しています:

  • アフリカでのプロジェクト:日本の「WaterAid Japan」は、ケニアやウガンダで1,000以上の井戸を設置し、150万人以上が安全な飲料水を得られる環境を提供。
  • ソーラー給水システム:日立製作所が開発したソーラーパネルを利用した井戸ポンプが、電力供給が不安定な地域で導入され、住民の生活を支えています。

給水施設の管理と運営

単に給水施設を設置するだけではなく、住民が施設を適切に運営できるよう、管理スキルを提供する支援も行われています。

  • 「水管理コミュニティ」の設立:住民自らが給水施設を維持管理する仕組みを構築するため、日本の専門家が技術指導を行っています。
  • 現地研修プログラム:住民代表を日本に招待し、水資源管理の知識やスキルを伝授する活動も実施されています。

トイレ設置と衛生習慣の普及

発展途上国では、屋外排泄が感染症拡大の一因となっています。日本の支援団体は、衛生環境の改善に注力しています。

  • 「衛生教育プログラム」:現地の学校で、手洗いやトイレの使い方を教えるプログラムが展開されています。これにより、児童の健康状態が大幅に改善。
  • 女性専用トイレの設置:性別に配慮したトイレ設置が進められ、女性の安全確保と通学率の向上に寄与しています。

石鹸や消毒液の提供

コロナ禍以降、衛生環境改善の一環として、手洗い場の整備や石鹸の配布が重点的に行われています。これにより、感染症のリスクを大幅に低減しています。

浄水技術の導入

日本企業の技術は、現地の課題解決に直接的な効果をもたらしています。

  • 逆浸透膜技術:中東やアフリカで導入されており、年間1,000万人以上に飲料水を供給。
  • 現地生産型浄水フィルター:発展途上国で現地生産が可能な浄水フィルターを提供し、地域経済の活性化にも貢献しています。

デジタルツールを活用した監視

現地の給水施設の稼働状況を遠隔で監視するシステムが導入され、故障時の迅速な対応が可能になりました。これにより、施設の稼働率が20%以上向上しています。

  • ベトナム:トイレ設置と衛生教育により、学童の下痢発生率が60%減少。
  • ケニア:井戸設置プロジェクトで、女性が水汲みの時間を削減したことで、子どもたちが学校に通えるようになりました。

SDGs目標6達成に向け私たちができること

個人レベルでも以下のような行動でSDGs目標6を支援できます。

  1. 節水を心がける:シャワー時間の短縮や節水型トイレの導入。
  2. 寄付や支援活動:NGOや団体に寄付を行い、活動を支援。
  3. 情報の共有:SNSで水問題に関する情報を発信し、周囲の人々に意識を広げる。

まとめ

SDGs目標6は、すべての人が健康で尊厳のある生活を送るために不可欠な目標です。日本と世界が連携し、技術と知見を活かして解決に向かうことで、持続可能な未来を築くことができます。あなたもぜひ、今日から小さなアクションを始めてみませんか?

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この記事を書いた人

私たちeco living編集部は、脱炭素アドバイザー ベーシックの資格を保有した編集者が、持続可能な暮らしを提案し、環境に配慮したライフスタイルをサポートするために日々記事を発信しています。地球に優しい商品やサービスの紹介から、エコな生活のヒントまで、皆さまのより良い未来作りのお手伝いを目指しています。

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