日本では、年間約523万トンの食品ロスが発生しており、そのうちの約半分は家庭からの廃棄物です。これはまだ食べられるにもかかわらず、食品が捨てられてしまうという大きな問題です。地球環境に与える影響も大きく、廃棄された食品の処理には多くのエネルギーが使われ、温室効果ガスの排出が増加します。また、家庭の食品ロスは家計にも影響し、無駄な出費が増えてしまいます。
この記事では、家庭で簡単にできる食品ロス対策を紹介し、今日から取り入れられる具体的な方法を提供します。環境にも家計にも優しい生活を目指し、一緒に食品ロスを減らしていきましょう。
食品ロスの現状とその影響
食品ロスの規模
日本では、年間約523万トンの食品ロスが発生しており、そのうちの約半分は家庭からの廃棄です。これは一人あたりに換算すると、年間約45キログラムの食品が無駄になっていることになります。この膨大な量の食品は、本来食べられるべきものであり、適切に管理・消費されていれば捨てられる必要はありません。
世界的な食品ロスの影響も無視できません。国連環境計画(UNEP)の報告によると、世界で生産される食料の約1/3が廃棄されており、これにより年間9億3,100万トンの食品が廃棄されいます。このように、食品ロスは単なる家庭の問題にとどまらず、地球規模での環境負荷にもつながっています。
また、日本の食品廃棄量は世界で15位となっています。(2021年時点)
家庭からの食品ロスの主な原因
- 買いすぎ:まとめ買いをすると、消費期限や賞味期限を過ぎた食材が捨てられてしまうことが多いです。
- 食べ残し:料理を多く作りすぎることや、盛り付け量が多すぎることが原因で、食べ残しが発生します。
- 保存方法の間違い:食材の適切な保存方法を知らずに腐らせてしまうケースも多いです。
- 期限切れ:消費期限や賞味期限をしっかり把握せず、気づかないうちに期限を過ぎてしまうこともあります。
家庭でできる食品ロス対策のポイント
買いすぎ防止
買いすぎは、家庭で発生する食品ロスの大きな原因のひとつです。無駄を防ぐためには、計画的な買い物が重要です。
買い物の計画方法
- 買い物リストの作成:スーパーに行く前に冷蔵庫やパントリーを確認し、今ある食材と足りないものをリスト化しましょう。これにより、不要なものを買わずに済みます。
- 頻度を決める:毎日買い物に行くと、その都度無駄なものを買いがちです。週に一度、計画的に必要なものだけを購入するよう心がけましょう。
- まとめ買いは慎重に:セールでのまとめ買いはお得に見えますが、消費できずに捨ててしまうリスクもあります。特に生鮮食品は必要な分だけ購入することが大切です。
正しい保存方法
適切な保存方法を知っておくことは、食品ロスを防ぐ大きなポイントです。正しく保存すれば、食材の鮮度を保ち、腐る前に使い切ることができます。
保存方法の基本ルール
- 冷蔵保存と冷凍保存の使い分け:食材に応じた保存方法を選びましょう。冷凍すれば保存期間が延び、特に大量に作った料理や余った食材を有効に活用できます。
- 湿度と温度の管理:特に野菜や果物は、適切な湿度と温度で保存することで鮮度を保てます。例えば、葉物野菜は湿度が高い環境で保存し、逆に根菜は湿度が低い環境が適しています。
食材別の保存方法
- 葉物野菜:濡れたキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて冷蔵保存。水分が保たれるため、長持ちします。
- 肉や魚:買ったその日に使わない場合は、冷凍保存がおすすめ。小分けにしてラップに包むか、ジップロックに入れて冷凍することで、使いやすくなります。
- パン:冷蔵保存は乾燥しやすいため、冷凍保存がおすすめです。食べるときは自然解凍するか、トースターで温め直すことで美味しく食べられます。
食べきるためのレシピ提案
食材を使い切るためには、余り物を活用したリメイクレシピが役立ちます。冷蔵庫に少しだけ残っている野菜や、賞味期限が迫った食材を無駄にしない工夫をしましょう。
リメイクレシピの例
- 野菜のスープ:余った野菜を一つの鍋にまとめて、スープにするのは簡単で栄養バランスの取れた方法です。特にトマトや人参、キャベツなどの冷蔵庫に残った野菜を組み合わせれば、食べきりに最適です。
- チャーハン:余ったご飯と冷蔵庫にある野菜や肉、卵を使って、手軽に一品作れます。醤油やごま油などの調味料を加えるだけで簡単に美味しい料理が完成します。
- パンプディング:余って硬くなったパンをミルクや卵、砂糖で浸して焼けば、美味しいデザートが作れます。捨ててしまうはずのパンが、立派なスイーツに変身します。
簡単なリメイクレシピを載せていますが「食品ロス削減に役立つツールやアプリ」の項目で献立づくりに役立つアプリなどを紹介しているので、こちらも参考にしてみて下さい。
日常で簡単に取り組める具体策
① 定期的な冷蔵庫チェック
食材の管理は冷蔵庫の中を把握することから始まります。週に一度は冷蔵庫の中を整理し、消費期限が近いものを確認しましょう。使い切りたい食材を優先的にメニューに取り入れることで、無駄を防ぐことができます。
② 賞味期限と消費期限の理解
多くの人が混同しがちなのが「賞味期限」と「消費期限」の違いです。
- 賞味期限:美味しく食べられる期間。期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではなく、適切に保存されていれば問題ありません。
- 消費期限:安全に食べられる期間。この期限を過ぎた食品は、健康上のリスクがあるため注意が必要です。
③ 使いきりレシピブックの作成
家庭で余りがちな食材をリストアップし、それらを使い切るレシピブックを作ることも効果的です。特に定期的に余る食材や料理をアレンジするアイデアをまとめることで、毎日の食事に取り入れやすくなります。
食品ロス削減に役立つツールやアプリ
食品ロスを減らすためには、日々の食材管理やレシピ提案をサポートしてくれるアプリやツールを活用することが効果的です。ここでは、日本語で利用できるアプリをいくつか紹介します。それぞれのアプリに関する詳しい情報が掲載されているサイトのリンクも追加しているので、ぜひ参考にしてください。
1. TABETE(タベテ)
TABETEは、飲食店やスーパーで余ってしまった食品を「レスキュー」するフードシェアリングアプリです。ユーザーはアプリ内で近隣のお店を検索し、捨てられそうな食べ物をお得な価格で購入できます。登録は無料で、使った分だけ料金が発生するため、気軽に始められるのが特徴です。
詳しくはTABETE公式サイトをご覧ください
2. Kuradashi(クラダシ)
Kuradashiは、賞味期限が近い食品や、規格外品、季節限定の食品をお得な価格で購入できるオンラインマーケットです。商品を購入することで、食品ロス削減に貢献できるだけでなく、売り上げの一部は社会貢献活動の支援にも使われます。安価に食品を入手しながら、環境保護活動もできるサービスです。
詳しくはKuradashi公式サイトで確認できます
3. フリフル
フリフルは、規格外の農作物やそれを使用した加工品を販売するアプリです。形や大きさが不揃いで市場に出回らない食品が多く、これを購入することで生産者を支援しつつ食品ロスを防ぐことができます。高品質な農産物を手頃な価格で購入できるのも魅力のひとつです。
詳しくはフリフル公式サイトをご覧ください
4. Let(レット)
Letは、B級品や規格外品、余剰在庫など、訳ありの商品を購入できる日本最大級のマーケットプレイスです。食品だけでなく、日用品や化粧品なども取り扱っており、さまざまなジャンルの商品が手に入ります。定期的にチェックすることで、掘り出し物を見つけることができ、食品ロス削減に大きく貢献できます。
詳しくはLet公式サイトをご覧ください
5. おうちごはん
おうちごはんは、冷蔵庫にある食材を有効活用するためのレシピアプリです。食材の使い切りを意識したレシピが多く掲載されており、賞味期限が迫った食材をおいしく料理できるアイデアが豊富です。また、ユーザー同士のレシピ共有機能があり、他の家庭の工夫も取り入れながら食品ロス削減を目指せます。
詳しくはこちらの公式サイトでご覧ください。
これらのアプリを活用すれば、食品の管理がしやすくなり、家庭での食品ロスを大幅に減らすことができます。日々の料理に新しいアイデアを取り入れ、楽しく食品ロス対策を進めてみましょう。
まとめ
家庭での食品ロス削減は、環境問題の解決だけでなく、家計を助ける大切なアクションです。計画的な買い物、正しい保存方法、余り物のリメイクなど、すぐに実行できる方法を取り入れていくことで、無駄な廃棄を減らし、持続可能な生活を実現できます。
今日からできる簡単なステップから始めて、食品ロス削減に貢献してみてください。