もくじ
1. はじめに:なぜジェンダー平等が重要なのか?

ジェンダー平等は、個人の権利を保障するだけでなく、経済成長や社会の持続可能性にも直結する重要な課題です。しかし、日本では依然として男女の格差が存在し、特に職場や政治の分野でその影響が顕著に表れています。
日本の現状
- 世界経済フォーラム(WEF)が発表するジェンダーギャップ指数では、日本は2023年時点で146カ国中125位と、先進国の中でも低い順位に留まっています。
- 特に政治・経済分野における女性の参画率の低さが問題視されており、国会議員や企業の管理職に占める女性の割合が著しく低い状況です。
本記事では、日本におけるジェンダーギャップの現状や課題をデータを基に解説し、行政や企業の取り組みの進捗状況を詳しく紹介します。
2. ジェンダーギャップ指数から見る日本の課題

ジェンダーギャップ指数とは?
ジェンダーギャップ指数(Global Gender Gap Index)は、経済、教育、健康、政治の4つの分野で男女間の格差を測定する指標です。
2023年の日本の順位とスコア
- 総合順位:146カ国中125位
- 経済分野:123位(女性の労働参加率や管理職比率が低い)
- 政治分野:138位(女性の国会議員・閣僚比率が低い)
- 教育分野:47位(初等・中等教育の男女差はほぼ解消)
- 健康分野:59位(出生時の男女比は均等だが、平均寿命に若干の格差あり)
特に深刻な「経済」と「政治」分野
1. 経済分野における男女格差
- 女性の労働参加率は72.5%(男性の89.3%に対し低い)。
- 女性管理職の割合は15%(OECD平均の32%に比べて低い)。
- 男女の賃金格差は約24%(女性の平均賃金は男性の76%)。
2. 政治分野におけるジェンダー格差
- 衆議院における女性議員の割合は10.2%(OECD平均の30%に遠く及ばず)。
- 閣僚における女性の割合は2023年時点で17.4%。
- 地方議会でも女性議員の割合は15%前後に留まる。
3. 日本におけるジェンダー格差の原因

① 伝統的なジェンダーロールの根強さ
日本では「男性は仕事、女性は家庭」という固定観念が根強く、女性がキャリアを継続することが難しい社会構造が依然として残っています。
- 出産・育児を機に退職する女性が多い
- 第一子出産後、約6割の女性が退職(厚生労働省)。
- 育児休業後の職場復帰率は約**50%**に留まる。
- 男性の育児参加率の低さ
- 日本の男性の育児休業取得率は14.0%(2022年)。
- OECD平均の40%と比べると低く、育児負担が女性に偏っている。
② 賃金格差とキャリアアップの機会の少なさ
- 女性の平均年収は男性の約76%
- 男性の平均年収:500万円
- 女性の平均年収:380万円
- 女性の昇進機会が少ない
- 企業の管理職に占める女性の割合は**15%**と低く、「ガラスの天井」が存在。
③ STEM分野における女性の進出の遅れ
- 理系・工学系(STEM)分野の大学生に占める女性の割合は15.7%(OECD平均25%)。
- 女性のエンジニアや研究職が少なく、ITやAI分野でも女性の活躍が限定的。
4. 行政や企業の取り組みと進捗状況

政府の施策
①「女性活躍推進法」の改正
- 企業に対して女性の管理職比率を公表することを義務化。
- 一定の規模以上の企業には、女性管理職比率30%を目指すことを推奨。
② 育児休業の拡充
- 2022年の法改正により、男性の育児休業取得を促進するために「出生時育児休業(産後パパ育休)」が導入。
- 企業には男性の育休取得率の向上を目標とすることを義務化。
企業の取り組み
① 女性管理職の登用
- 資生堂や日立製作所などの企業は、女性管理職比率を30%以上にする目標を掲げ、研修や育成プログラムを導入。
② フレックスタイム・リモートワークの拡充
- 楽天やソニーは、フレックスタイム制や在宅勤務を導入し、育児と仕事の両立を支援。
③ STEM分野での女性支援
- 富士通やソフトバンクは、STEM分野に進む女子学生を対象に奨学金を提供。
5. ジェンダー平等の実現に向けて、私たちができること

① ジェンダーに関する意識を変える
- 職場や家庭での固定観念を見直し、ジェンダーバイアスを減らす努力をする。
- 育児や家事の分担を平等に行い、男女の役割にとらわれない生活スタイルを目指す。
② 女性のキャリア支援に貢献する
- 女性がキャリアアップしやすい環境作りを支援するため、職場でジェンダーに配慮した制度を提案する。
- STEM分野やリーダー職に進む女性を応援し、機会を提供する。
③ 政策や企業の取り組みに注目し、発信する
- 政府や企業のジェンダー施策に関する情報を学び、SNSやブログで発信することで社会の意識を高める。
- 投票や政策提言を通じて、ジェンダー平等を推進するリーダーを支援する。
まとめ:ジェンダー平等の未来を作るために
ジェンダー平等は、社会全体の持続的な成長を促す重要な要素です。日本では依然として男女の格差が大きく、特に職場や政治分野での女性の参画率の低さが課題となっています。しかし、行政や企業の取り組みが進む中で、私たち一人ひとりの意識と行動が大きな変化を生む可能性があります。
今こそ、ジェンダー平等を実現するための行動を始めましょう!
こちらの記事もおすすめ
あわせて読みたい


質の高い教育をみんなに!SDGs目標4の日本の現状と課題をデータで解説
教育は個人の人生を豊かにするだけでなく、社会全体の成長と安定を支える重要な要素です。しかし、日本では教育機会の公平性や質の確保に課題が残されています。 SDGs目…