【わかりやすく解説】SDGs 15とは?「陸の豊かさも守る」の取り組み事例も紹介

もくじ

SDGs 15 とは

SDGsの概要とその重要性

持続可能な開発目標(SDGs)は、2015年の国連サミットで採択された、2030年までに達成すべき17の国際目標です。この中でも目標15は、私たちの生活の基盤となる自然環境の保護に焦点を当てています。約16億人もの人々が森林資源に生計を依存し、世界の貧困層の75%が土地劣化の影響を受けているという現状があります。つまり、陸の豊かさを守ることは、単なる環境保護ではなく、人類の生存と繁栄に直結する重要な課題なのです。

■SDGsの特徴

  • 2030年までの達成を目指す時限付きの目標
  • 17の目標と169のターゲットで構成
  • 「誰一人取り残さない」を理念として掲げる
  • 先進国を含む全ての国が行動を求められる
  • 環境・経済・社会の三側面を統合的に扱う

SDGs 15の定義と目的

SDGs目標15は、陸域生態系を保護、回復、持続可能な形で利用することを目指しています。特に深刻な問題となっているのが森林破壊です。世界の森林面積は毎年約330万ヘクタールずつ減少しており、これは東京都の面積の約1.5倍に相当します。こうした状況を踏まえ、この目標では森林の持続可能な管理や砂漠化への対処、生物多様性の損失防止などを重点的に取り組むべき課題として設定しています。

■SDGs 15の重点項目

  • 森林の持続可能な管理の促進
  • 生物多様性の保全と回復
  • 砂漠化への対処と土地の劣化防止
  • 山地生態系の保全
  • 絶滅危惧種の保護

SDGs 15が保護する対象

陸の豊かさを守るためには、さまざまな生態系を包括的に保護する必要があります。SDGs 15が対象とする生態系は、森林や湿地、山地、乾燥地など多岐にわたります。世界の陸地面積の約31%を占める森林は、地球上の陸生生物の約80%が生息する重要な場所です。また、これらの生態系は二酸化炭素の吸収や水資源の供給、土壌の保全など、人間の生活に不可欠なサービスも提供しています。

■保護対象となる生態系とその重要性

  • 森林:生物多様性の維持、気候変動の緩和
  • 湿地:水質浄化、洪水調整、生物の生息地
  • 山地:水源涵養、土砂災害防止
  • 乾燥地:特有の生態系維持、砂漠化防止
  • 草原:生物の生息地、食料生産の場

SDGs 15のターゲット

SDGs 15の具体的なターゲット一覧

SDGs 15のターゲットは、陸域生態系の保護から生物多様性の保全まで、幅広い課題に対応するよう設計されています。これらのターゲットは、国際社会が直面する環境問題に対して、具体的な行動指針と達成すべき目標を示しています。例えば、2020年までに森林減少を阻止することや、2030年までに砂漠化に対処することなど、明確な期限と目標が設定されており、各国はこれらの達成に向けて様々な施策を展開しています。

■SDGs 15の主要ターゲット

  • 15.1:森林・湿地・山地などの生態系の保全と回復(2020年までに)
  • 15.2:持続可能な森林管理の実施、森林減少の阻止(2020年までに)
  • 15.3:砂漠化への対処、劣化した土地の回復(2030年までに)
  • 15.4:生物多様性を含む山地生態系の保全(2030年までに)
  • 15.5:絶滅危惧種の保護と絶滅防止の緊急対策
  • 15.6:遺伝資源の利用による利益の公正な配分
  • 15.7:密猟・違法取引の撲滅
  • 15.8:外来種の侵入防止と影響の軽減
  • 15.9:生態系と生物多様性の価値を政策に反映

各ターゲットの達成状況

世界の森林や生態系の現状は依然として厳しい状況が続いています。特に熱帯地域での森林減少は深刻で、2015年から2020年の間に毎年約1,000万ヘクタールの森林が失われました。また、約100万種の動植物が絶滅の危機に瀕しているとされ、生物多様性の損失も加速しています。一方で、保護区の設定や森林認証制度の普及など、前向きな取り組みも着実に進展しています。

■達成状況の評価指標

  • 森林面積の変化率
  • 保護区の面積と割合
  • 絶滅危惧種の数の推移
  • 砂漠化の進行状況
  • 生物多様性指標の変化
  • 持続可能な森林管理の実施状況
  • 違法取引の検挙件数

目標達成に向けた国際的な取り組み

国際社会は様々な枠組みを通じて、陸の豊かさを守るための取り組みを推進しています。特に注目すべきは、森林減少を抑制するREDD+(レッドプラス)や、生物多様性条約に基づく愛知目標などの取り組みです。これらの国際的な協力体制により、途上国への技術・資金支援や、グローバルな環境保護の枠組みが整備されつつあります。

■主な国際的取り組み

  • REDD+:途上国の森林減少抑制を支援
  • ワシントン条約:絶滅危惧種の国際取引を規制
  • ラムサール条約:湿地の保全を推進
  • 砂漠化対処条約:土地劣化への対策を促進
  • 生物多様性条約:生態系の保護を包括的に推進
  • 世界遺産条約:自然遺産の保護を強化

SDGs 15の取り組み事例

世界の取り組み事例

世界各国で森林保護や生物多様性の保全に向けた革新的な取り組みが展開されています。例えばブラジルのアマゾン地域では、衛星監視システムを活用した違法伐採の監視や、先住民コミュニティと協力した持続可能な森林管理が実施されています。また、アフリカのグレートグリーンウォール計画では、サハラ砂漠の南縁に約8,000kmの植生帯を造成する壮大なプロジェクトが進行中です。このような大規模な環境保護活動は、地域社会の発展と自然保護の両立を目指す新しいモデルとして注目されています。

■世界の主要な取り組み事例

  • アマゾン地域保護プログラム(ブラジル)
  • グレートグリーンウォール計画(アフリカ11カ国)
  • ボルネオ島オランウータン保護区(インドネシア)
  • アルプス山脈越境保護地域(ヨーロッパ8カ国)
  • タイガ保護イニシアチブ(ロシア)
  • コスタリカの生態系支払制度

日本国内での取り組み

日本の森林面積は国土の約7割を占めており、その保全と持続可能な利用は重要な課題となっています。北海道の下川町では、100年計画による持続可能な森林経営モデルを確立し、世界的にも注目される成功事例となっています。また、企業と地域が連携した里山保全活動や、絶滅危惧種の保護プログラムなど、様々なレベルでの取り組みが活発化しています。

■日本の代表的な取り組み

  • 下川町の循環型森林経営(北海道)
  • 佐渡トキ保護プロジェクト(新潟県)
  • 綾の照葉樹林プロジェクト(宮崎県)
  • 企業の森づくり制度(各都道府県)
  • 生物多様性地域戦略(各自治体)
  • 国立公園満喫プロジェクト

企業や地域団体の具体的な活動

民間企業や地域団体による環境保護活動も、SDGs 15の達成に重要な役割を果たしています。例えば、FSC認証制度への参加や、生物多様性オフセットの導入、環境配慮型商品の開発など、ビジネスモデルに環境保護の視点を組み込む企業が増加しています。また、地域に根ざしたNPOや市民団体による保全活動も、地域の自然環境を守る上で大きな力となっています。

■企業・団体の活動例

  • イオン環境財団の植樹活動
  • サントリーの天然水の森事業
  • パタゴニアの環境保護キャンペーン
  • WWFジャパンの生態系保全プログラム
  • 日本自然保護協会の調査・研究活動
  • 各地の市民団体による里山保全活動

SDGs 15達成のために私たちができること

一人ひとりの行動がもたらす影響

環境問題は大きな課題に思えますが、実は私たち一人ひとりの日常的な選択や行動が、陸の豊かさを守る重要な一歩となります。例えば、環境に配慮した製品を選ぶという消費行動は、企業の環境への取り組みを促進し、より広範な環境保護活動へとつながっていきます。また、地域の自然保護活動に参加することは、直接的な環境保護だけでなく、地域コミュニティの活性化や環境意識の向上にも貢献します。このように個人の行動は、より大きな環境保護の動きを生み出す原動力となるのです。

■個人ができる具体的なアクション

  • FSC認証マークのある製品の選択
  • 地域の植林・清掃活動への参加
  • 環境保護団体への支援や寄付
  • 使い捨て製品の使用削減
  • 地産地消の実践
  • 環境問題への理解を深める学習

参加可能な活動やプロジェクトの紹介

環境保護に関心を持った人が実際に参加できる活動は、身近なところに数多く存在します。地域の自然公園でのボランティア活動から、オンラインで参加できる環境保護プロジェクトまで、様々な形で環境保護に貢献する機会があります。これらの活動は、自然環境への理解を深めるとともに、同じ志を持つ人々とのネットワークを築く機会にもなります。

■参加可能な活動一覧

  • 地域の森林ボランティア活動
  • 生物多様性モニタリング調査
  • 環境教育プログラム
  • 市民科学プロジェクト
  • エコツーリズム
  • オンライン環境保護キャンペーン

日常生活での意識すべき点

環境保護は特別な活動だけでなく、日々の生活の中でも実践できます。例えば、食品ロスを減らすことは、農地の過剰な開発を抑制することにつながります。また、エネルギー消費を抑えることは、間接的に森林破壊の抑制に貢献します。このように、普段の生活を少し見直すだけで、環境保護に貢献することができるのです。

■日常生活でのチェックポイント

  • 食品の購入・保存・消費の適正管理
  • リサイクルとゴミの分別の徹底
  • 省エネ行動の実践
  • 環境に配慮した商品の選択
  • マイバッグ・マイボトルの使用
  • ペーパーレス化の推進

まとめと今後の展望

SDGs 15の意義を再確認する

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」は、私たちの生存基盤である地球環境を守るための重要な指針です。森林や生態系の保護は、単なる自然保護にとどまらず、気候変動の緩和や食料安全保障、poverty(貧困)の解消など、多くの社会課題の解決にも密接に関連しています。世界人口の約20%が森林資源に依存し、75%以上の主要農作物が花粉媒介者に頼っているという事実は、陸の豊かさを守ることが人類の持続可能な未来にとって不可欠であることを示しています。

■SDGs 15の重要な意義

  • 生態系サービスの維持と保全
  • 生物多様性の保護
  • 気候変動対策への貢献
  • 食料安全保障の確保
  • 貧困解消への寄与
  • 持続可能な経済発展の基盤

未来のために取り組むべき課題

現在の環境破壊のペースを考えると、2030年までのSDGs目標達成には一層の努力が必要です。特に、人口増加や経済発展に伴う土地利用の変化、気候変動の影響など、新たな課題への対応が求められています。また、環境保護と経済発展の両立、途上国支援の強化、技術革新の促進なども重要な課題となっています。

■今後の重点課題

  • 森林減少の完全な阻止
  • 絶滅危惧種の保護強化
  • 砂漠化対策の加速
  • 生態系の回復力向上
  • 国際協力の強化
  • 環境技術の開発・普及

SDGs達成に向けた個人の役割

環境問題の解決には、政府や企業の取り組みだけでなく、私たち一人ひとりの意識と行動が重要です。日常生活での環境への配慮、地域の環境保護活動への参加、環境に配慮した消費行動など、できることから始めることが大切です。また、次世代への環境教育や、環境問題に関する知識の共有も、持続可能な社会の実現に向けた重要な役割となります。

■個人にできる貢献

  • 環境に配慮した消費行動
  • 地域の環境活動への参加
  • 環境教育への関与
  • SNSでの情報発信
  • 環境保護団体の支援
  • 政策への関心と参加

このように、SDGs目標15の達成に向けては、国際社会から個人まで、あらゆるレベルでの協力と行動が必要です。私たち一人ひとりが、地球の未来を守るための担い手として、できることから行動を始めることが重要なのです。

この記事を書いた人

私たちeco living編集部は、脱炭素アドバイザー ベーシックの資格を保有した編集者が、持続可能な暮らしを提案し、環境に配慮したライフスタイルをサポートするために日々記事を発信しています。地球に優しい商品やサービスの紹介から、エコな生活のヒントまで、皆さまのより良い未来作りのお手伝いを目指しています。

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