「平和」と「公正」、それって身近なこと?
「日本は治安がいい国」そう聞いたことはありませんか?
たしかに、日本の犯罪発生率は他国に比べて低く、街を歩いていても比較的安心して暮らせる国であることに間違いはありません。ですが、そんな日本でも、「誰もが安心して暮らせる社会か?」と聞かれれば、少し考えてしまうかもしれません。
たとえば、家庭内のトラブルで悩んでいる人、ジェンダーによる生きづらさを感じている人、外国人として暮らす中で言葉や制度の壁にぶつかっている人。
日常の中にある“ちょっとした不安”や“誰かの生きづらさ”は、見えにくいけれど確かに存在しています。
SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」は、そんな私たちの“暮らしの安心”を支えるための目標。暴力のない社会、誰もが公正に扱われる制度、そして一人ひとりの声が尊重される環境をつくっていくことが、この目標の目的です。
SDGs目標16って、どんなことを目指しているの?

この目標は、国際的な紛争解決や暴力の防止といった大きなテーマだけでなく、私たちの日常にも深く関わる内容が多く含まれています。
具体的には、
- 子どもや女性が安全に過ごせる社会
- 公平で信頼できる司法制度の整備
- 差別や偏見をなくし、多様な人が共に暮らせる社会
- 誰もが意見を表明し、意思決定に参加できる仕組み
などがターゲットとして掲げられています。
つまりこの目標は、「みんなの未来に優しい社会をつくる」ことを目指したもの。ちょっと抽象的に感じるかもしれませんが、私たちの身の回りにたくさんのヒントがあります。
日本はどんな状況? “安心”を支える社会の動き
日本は、比較的安全な国とされている一方で、「安心して暮らせる社会」を支えるための取り組みはまだ進行中です。
たとえば、2023年には性犯罪に関する刑法が大きく改正され、「不同意性交等罪」などが新設されました。これにより、被害を受けた方の声がより尊重される社会への一歩が踏み出されています。
また、被害者支援の体制も整えられつつあります。東京都では「性暴力被害者ワンストップ支援センター」が設置され、医療・カウンセリング・法律相談をひとつの場所で受けられるようになっています。こうした施設は、安心して助けを求められる場所として、全国的に少しずつ広がってきています。
さらに、外国人が安心して暮らすための「多文化共生」の取り組みも進行中です。大阪府では、外国籍の方が母語で相談できる窓口を整備し、やさしい日本語での対応が広がっています。
身近なところで進む“やさしい社会”づくりの取り組み
大きな制度改革だけではなく、地域での小さな動きも少しずつ未来を変えています。たとえば福岡市では、若者がジェンダー平等やLGBTQ+について学ぶワークショップを開催したり、女性起業家の支援を通じて社会参加のきっかけをつくったりしています。
学校では「いじめゼロ宣言」や「みんなちがって、みんないい」をテーマにした授業が行われ、子どもたちが自然と多様性を受け入れる土壌が育ちつつあります。こうした積み重ねが、包摂的で平和な社会づくりの土台になるのです。
私たちにできる、小さなアクション
「平和や公正を守る」と聞くと、難しいことのように感じるかもしれません。でも実は、日々の小さな行動が社会全体を変える力になります。
たとえば、
- ニュースやSNSで流れる情報を、偏見なく見つめてみる
- 周りの人の違いを受け入れる姿勢を持つ
- 差別的な言動に気づいたら、やさしく指摘する
- 地域で行われる多様性や共生に関するイベントに参加してみる
こうしたアクションは、すべて「誰もが安心して過ごせる社会」につながっています。自分自身が“やさしい社会づくり”の一員であるという意識を持つことこそ、SDGs目標16の実現に向けた第一歩です。
まとめ:平和も公正も、気づきと行動から生まれる
世界には大きな問題があるけれど、それを解決するのは「特別な誰か」だけではありません。
日常の中で不公平に気づいたとき、それを見て見ぬふりせずに優しく声をかけること。違いを認め、対話を大切にすること。そうした“やさしさ”の連鎖が、私たちの社会を少しずつ変えていきます。
SDGs目標16は、未来の話ではなく「今ここから始まる物語」です。あなたの気づきが、平和と公正な社会への大きな一歩になります。