プラスチックごみ問題が世界中で注目されています。大量に使用されるプラスチックは、環境に多大な影響を与えていますが、その影響はどの程度深刻なのでしょうか?この記事では、最新のデータと具体的な事例を通じて、プラスチックが環境にどのような影響を与えるかを掘り下げ、私たちにできる解決策を考察していきます。
プラスチックごみ問題の現状
世界で排出されるプラスチックごみの量は2019年の約3億トンから2060年には約10億トンと、ほぼ3倍に膨れ上がり、プラスチックごみの環境への投棄は2060年には年間 4,400万トンに倍増し、海洋に堆積されるプラスチック廃棄物の量は3倍以上に増加すると 予測されています。
海洋汚染と生態系への影響
プラスチックゴミは分解されることなく、マイクロプラスチックとして海洋生物の体内に蓄積されます。これにより、食物連鎖を通じて私たち人間にもその影響が及ぶことが懸念されています。
プラスチックをはじめとする海に投棄されたごみが原因で年間100万羽もの海鳥や10万頭もの海洋哺乳類、海ガメなどの命を奪っていると言われています。
(出典)世界環境デーでの元国連事務総長でノーベル平和賞の受賞者であるコフィ・アナン氏の発言より
陸地でのプラスチックごみ問題
プラスチックは海だけでなく、陸上でも深刻な問題を引き起こしています。埋立地ではプラスチックが分解されずに数百年以上残り、土壌汚染や地下水の汚染を引き起こす可能性があります。
プラスチックが引き起こす環境問題
プラスチックが環境に与える影響は海洋汚染や土壌汚染だけにとどまりません。温室効果ガスの排出も問題視されています。
温室効果ガスとプラスチック生産
プラスチックの生産には化石燃料が使用されており、これは温室効果ガスの排出につながります。さらに、プラスチック廃棄物が燃焼される際には、さらに多くのCO2が排出されます。2050年にはプラスチック産業が世界のCO2排出量の20%を占めると予測されています。
BAUシナリオにおけるプラスチック量の拡大、石油消費量
リサイクルの限界と現実
プラスチックのリサイクル率は世界的にまだ低い水準にとどまっています。日本においても、全体のリサイクル率は87%となり。世界と比べると高い水準と言われています。
プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況
(オレンジ色の折れ線が有効利用率)
プラスチック問題に対して私たちができること
では、私たちはこの深刻なプラスチック問題にどう対処できるのでしょうか?一人ひとりが日常生活の中でできる取り組みを紹介します。
リデュース、リユース、リサイクルの実践
プラスチックの使用を減らし(リデュース)、再利用可能なアイテム(リユース)を積極的に使うことが第一歩です。エコバッグや再利用可能な水筒など、小さなアクションが大きな効果を生み出します。
自然分解までにかかる年数を見てみるとペットボトルは400年かかり、釣り糸はなんと600年もかかります。
自然分解までにかかる年数
プラスチック代替品の活用
竹やステンレス、ガラスなど、プラスチックに代わる素材を選ぶことで、環境への負荷を減らすことができます。例えば、ペットボトルの代わりに繰り返し使えるステンレスボトルを使うなど、簡単にできる行動もあります。
社会的な行動への参加
地元の清掃活動に参加する、プラスチック削減キャンペーンを支持するなど、個人レベルのアクションを広げていくことも重要です。
まとめ
プラスチックごみ問題は私たちの未来に直結する大きな課題です。しかし、日常生活でできる小さなアクションや社会全体での取り組みによって、解決の道筋は見えています。まずは私たちにできることから始め、持続可能な未来を共に築いていきましょう。